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REPORT

IUI展2022-2023 「土から掘り起こす都市の野性」 ゲスト:藤井一至(土壌研究者)

2023年3月2日(木)13:00〜16:10IUIホール、野外(ワークショップ)
  • 領域横断ワークショップ
  • 領域横断レクチャー

土壌研究者として世界中を飛び回りながら自らの足で調査を行う藤井一至さんを講師に招き、特別レクチャーとワークショップを開催します。

藤井さんは世界中で研究を行いながら、土と共にある生態系や、農業の仕組み、栄養やエネルギーがどのように循環していくかを見てきました。土を通して世界を見ることで、今までばらばらの問題のように感じていた、環境やエネルギーや戦争、人間の暮らし方などの問題を、関連しあう問題として考えることができるようになります。レクチャーでは、都市という複雑な対象が、土という観点からどう見えてくるのか、藤井さんにお話をうかがいます。

ワークショップでは、レクチャーを通して学んだ藤井さんの「世界の見方」を参考に、実際に世界(キャンパス)を見てみることで、キャンパスという世界を土から再発見することを試みます。横浜国大のキャンパスは、故・宮脇昭名誉教授の植栽計画によって育った鬱蒼とした森が広がっています。その下にある土を、藤井さんから観察ポイントを教えていただきながら、実際に掘って、観察します。土のモノリス(標本)も作製する予定です。

※要登録 https://forms.gle/eS8apEPay1DPxhEr5

※ワークショップのみ定員約15名(小雨決行)【ワークショップは定員に達しため締め切りました】

ゲストプロフィール

藤井一至 土の研究者。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員。1981年富山県生まれ。京都大学農学研究科博士課程修了。博士(農学)。カナダ極北の永久凍土からインドネシアの熱帯雨林までスコップ片手に世界、日本の各地を飛び回る。第1回日本生態学会奨励賞、第33回日本土壌肥料学会奨励賞、第15回日本農学進歩賞受賞。著書に『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』(光文社、第7回河合隼雄学芸賞受賞)『大地の五億年せめぎあう土と生き物たち』(山と溪谷社)など。

 

横浜国立大学IUIホール(全学共用棟B【N7-2】)https://goo.gl/maps/VoPBkiCY7J1Lh2V98

横浜国立大学へのアクセス https://www.ynu.ac.jp/access/

レポート


土壌研究者として世界中を飛び回りながら自らの足で調査を行う藤井一至氏を講師に招き、特別レクチャーとワークショップを開催した。

レクチャーの様子(写真:黑田菜月)


 レクチャーでは、そもそも土とは何か、という話から、都市と農村とそこにある生態系の話、世界の様々な土、風土、農業の話、都市生態系の再発見についての話など「土から掘り起こす都市の野生」というテーマと藤井氏の最近の興味を絡めてお話しいただいた。一見すると色々な地域、様々な問題について話しているように見えるが、それらが「土」を通して語られることで、人類に共通する一つの話として聞こえてきた。また、都市と農村において、「良い」とされる土の性質が異なること、新たな生態系をどこまで受け入れるか、といったハッとさせられる話もあり、最後は「私なりのサイエンスを楽しんでいる」という言葉で締めくくられた。

 その後の質疑応答では、日干しレンガが土へ還った際に土地へ及ぼす影響についてや、家庭菜園における土、近所の問題について、その地域の文化に土が与える影響についてや、近年の汚物の行方についてなど、来場者の様々な疑問を藤井氏と共に考えながら、会場全体で議論を深めた。

 ワークショップでは、キャンパス内に広がる、故・宮脇昭名誉教授の植栽計画によって育った森の下にある土を、観察のポイントを教えていただきながら、掘って、観察し、土の標本を作製した。落ち葉がたくさん落ちていてふかふかに思われた土も、30センチほど掘ると固い地盤に突き当たり、元はゴルフ場であったキャンパスの土地の歴史を感じることができた。木枠に掘った土や出てきた物をつめ、ボンド水で固めて、観察した土を標本として保存した。今後、キャンパス内の別の場所でも標本を作成したり、土の標本展示を行ったりしたいと考えている。

WSの様子(写真:黑田菜月)
WSの様子(写真:黑田菜月)
WSの様子(写真:黑田菜月)
WSの様子(写真:黑田菜月)
WSの様子(写真:黑田菜月)
WSの様子(写真:黑田菜月)

レポート:藤本梨沙(Y-GSA)

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